AIコラム

AIで広告運用と商品ページを磨く|ECの売上に直結させる使い方

AI活用の話は工数削減に寄りがちですが、EC事業でインパクトが大きいのは売上側です。私たちは自社ECで健康食品とペット用品を販売しており、広告運用と商品ページの改善にAIを組み込んで回してきました。この記事では、売上に結びついた使い方と、結びつかなかった使い方を分けて書きます。

導入の順番から整理したい方はEC運営で「まず何にAIを使う?」AI活用の始め方を先にご覧ください。

AIが得意なのは「量を出すこと」、苦手なのは「当てること」

最初に前提を揃えます。AIは、訴求軸の異なるコピーを一度に20案出すことができます。一方で、そのうちどれが売れるかは分かりません。学習した一般的な文章の傾向から「もっともらしいもの」を出すだけで、あなたの商品を買うお客様のことは知らないからです。

したがって、売上に効く使い方は次の形に収束します。

  • AIが案の量を作る人が絞る市場が選ぶ(数字で判定)勝ちパターンをAIに教え直す
売上に効く使い方の4ステップ。AIが案を量産し、人が絞り、市場が数字で選び、勝ち筋を指示文に教え直す
最後の「教え直す」工程がある会社だけが、回すたびに精度を上げていきます

逆に「AIに良いコピーを書いてもらう」という発想では成果が出ません。最後の「教え直す」工程がある会社だけが、回すたびに精度を上げていきます。

広告運用:AIを入れる3つのポイント

1. 訴求軸ごとにコピーを量産する

漠然と「広告文を作って」と頼むと、平均的な文章が出てきます。効くのは軸を指定して出させるやり方です。

  • 悩み起点(何に困っている人に向けるか)
  • 使用シーン起点(いつ・どこで使うか)
  • 比較起点(他の選択肢とどう違うか)
  • 価格・条件起点(送料無料、定期割引など)
  • お客様の言葉起点(レビューの表現をそのまま使う)

複数モールに出店している場合は、モールごとに評価される点が違うため展開の仕方も変わります。詳しくはモール運営で使うAI活用の実務|楽天・Amazon・Yahooの重複作業を減らすで書いています。

特に効果が高いのは最後の「お客様の言葉起点」です。レビューや問い合わせの文面をAIに読ませ、頻出する表現を抽出させてからコピーに落とします。作り手の言葉より、買った人の言葉のほうが刺さります。これは自分たちで書いていると気づきにくい部分で、AIに大量のレビューを読ませる価値がはっきり出る使い方です。

2. 配信結果の読み取りを言語化させる

広告管理画面の数値を貼り、「どのクリエイティブが伸びていて、共通点は何か」を整理させます。人が見ても分かることですが、担当者が変わっても同じ観点で振り返れる点に価値があります。

ただしAIの分析結果をそのまま意思決定に使ってはいけません。データ量が少ない期間の差はただのばらつきであることが多く、AIはそこに理由を付けてしまいます。仮説を出す道具として使い、判断は人が行ってください。

3. 表現チェックを二重にする

健康食品・化粧品を扱う場合、これは省略できません。AIは「改善します」「効果があります」といった薬機法上使えない表現を、指示しなければ普通に書いてきます。「最安値」「No.1」のような景品表示法に関わる表現も、根拠がなければ使えません。

私たちは、生成時に禁止表現リストを渡し、そのうえで入稿前に人が必ず確認する二重の構えにしています。AIに法令判断をさせないことが原則です。この線引きは、そもそも人が判断すべき領域だからで、精度の問題ではありません。表現規制やレビューの扱いを含む法務面の整理はECのAI活用と法務リスク|薬機法・景表法・個人情報・著作権の実務ラインにまとめています。

商品ページ:構成から作り直す使い方

商品ページでAIを使うとき、文章を書かせるより先に構成の見直しに使うほうが効果が出ます。

お客様の疑問を洗い出させる

商品情報を渡し、「この商品を検討している人が購入前に不安に思うことを20個挙げて」と指示します。出てきた項目のうち、現在のページで答えていないものが改善ポイントです。

自社の商品は詳しすぎるために、お客様がどこで迷うかが見えなくなります。この使い方は、その盲点を突くのに向いています。実際の問い合わせ内容と突き合わせると精度が上がります。

既存ページを読ませて欠けを指摘させる

現在の商品ページのテキストを渡し、「購入判断に必要な情報で不足しているものはどれか」を挙げさせます。サイズ感、使用期間の目安、他商品との違い、定期便の解約条件など、書いたつもりで抜けている項目が見つかります。

レビューから改善ネタを取り出す

レビューを分類させ、不満点と要望を頻度順に並べます。ページ改善だけでなく商品改良のネタにもなります。件数が多くて誰も読めていない状態のショップほど、ここに未使用の情報が眠っています。

やってみて効果が薄かったこと

成果が出なかった使い方も共有します。同じ回り道をしないための材料としてお読みください。

  • AIに商品説明文を全文書かせて、そのまま公開する:文章としては整いますが、他社と似た内容になり差がつきません。事実(成分・製造・実際の使い方)を人が入れないと中身が薄くなります。
  • SEO目的で大量の記事を生成する:量を出しても、経験にもとづく内容がなければ評価されません。書ける人が実務で得たことを書き、AIは構成整理と表現の推敲に使うほうが結果につながります。
  • 数字の少ない期間の分析をAIに任せる:もっともらしい理由が返ってきますが、判断材料にはなりません。

勝ちパターンを資産として残す

広告と商品ページの改善をAIで回すと、「この商材ではこの訴求が効く」「この書き出しは反応が悪い」という知見が溜まります。これを担当者の頭の中ではなく、指示文とチェックリストの形で残すのが最後の工程です。

ここを整えておくと、担当者が変わっても水準を保てます。逆にここを飛ばすと、AIを使いこなせる人が抜けた時点で元に戻ります。組織として残す設計はAI活用を属人化させない|EC企業のための「内製化」ロードマップで詳しく書いています。

よくある質問

AIで作ったコピーは他社と似てしまいませんか

渡す材料が一般的だと似ます。差がつくのは、自社にしかない情報を渡したときです。レビューの実際の文面、問い合わせでよく聞かれること、製造や仕入れの背景。これらを渡せば他社が同じものを出すことはできません。「AIの性能差」ではなく「渡す材料の差」で決まると考えてください。

画像や動画のクリエイティブもAIで作れますか

技術的には可能ですが、商品そのものを写す必要があるEC広告では、実物の撮影に代えられない場面が多いです。背景の差し替え、サイズ違いの展開、構図案の検討といった補助用途では実用になります。商品の見た目が変わってしまう加工は、景品表示法上のリスクがあるため避けてください。

効果はどのくらいで出ますか

広告は配信して数字が出るまでの期間で決まるため、商材と予算次第です。一方、商品ページの疑問洗い出しやレビュー分析は着手した週に改善点が見つかります。短期で成果を確認したい場合は、後者から入るほうが判断しやすいはずです。

売上側の設計をご一緒します

広告と商品ページへのAI活用は、自社の情報をどう渡すか、そして表現のチェック体制をどう組むかで結果が変わります。私たちは自社ECで同じ工程を回してきた立場から、担当者が自分で改善を回せる状態を作るAI研修と、運用設計に継続的に関わるAI顧問をご用意しています。

取り組みの内容はAI活用事例をご覧ください。自社の商材で何から着手すべきかを相談したい方は、AI事業のお問い合わせからご連絡ください。

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